歪んだ感性。

何かを決意したかのような表情の厳粛なカトリック信者の男性。
20年以上自分の脳を支配する変態的なSMプレーに心を翻弄され
罪の意識に苛まれて、その打ち震えるような性欲を
懺悔室に通って紛らわせていたそうです。
そんな彼が「私は地獄に堕ちるのでしょうか?」と震えながらお聞きになるから、
私は満面の笑みで「地獄に堕ちるわよ」と申し上げました。

彼は一瞬恐怖の表情を浮かべるのだけれど、その罪の意識や恐怖こそが、
彼の性的興奮に拍車をかけているということ。
それに薄々気づいているのでしょう。
だって彼、そんな顔をしながら、心は絞り出すように笑っているのだもの。
感動に打ち震えた瞳を潤ませながらね。
そして私を見上げながら必死に足首に縋りついてる。
地獄にいることが、彼にとって幸せなことなのよ。
今まで教えられてきた幸せの概念に、ずっと違和感を感じて生きていらしたのね。

だから私は「地獄に堕ちるわよ」なんていう呪いの言葉を彼に発するの。
彼は真実を聞きに来ているんじゃないんだもの。
“地獄に堕ちる”という快楽を楽しみにいらしてるのよ。歪んだ感性ですわね。
私はあなたみたいな人間が、愛しくてたまらないのです。


愛という名の真実。そんなもの、あるの?それでもいいさ。このまま。
でも。離れるな / THE YELLOW MONKEY